大好きな子どもと関われる天職だと感じるけどみんなどうして辞めちゃうんだろう?
保育士の離職率が高い原因を分かりやすく教えてくれるサイトはないかな?
こう言った、新人保育士の悩みに現役保育士の僕がお答えしていきます。
この記事を読むことで分かることは以下の通りです。
・保育士の離職率が高い理由が分かる
・保育士が離職する原因が分かる
・今後の保育業界の課題が分かる
この記事の筆者は以下のような経験をしています。
・現役保育士
・保育士歴4年
・新卒採用・研修担当
4年間の保育士経験や保育士友だちの現状、2020年の新人保育士の研修経験から多くの情報を話すことができます。
保育士友だちが1年で保育士を辞めた理由を、【元保育士を直撃】保育士を辞めた衝撃的な理由とは?で紹介しています。
では、本題に入っていきます。
【悲報】保育士の離職率は若いほど高くなる

誰かが、保育士辞める人多いって言ってたよ?
以下の表は、保育士等確保対策検討会が平成27年11月9日に発表した『保育士等における現状』から抜粋しています。
出典:保育士等確保対策検討会
比較のために厚生労働省が発表している全体の離職率も掲載しておきます。
上記2つの表を比べても、様々なことが分かります。
しかし今回のテーマは『保育士の離職率』なので、保育士等確保対策検討会の表からわかることをピックアップしていきます。
・保育業界の約30%は4年目未満の若い保育士
・保育業界の約30%は14年目以上のベテラン保育士
つまりどの保育園をみても、若い保育士とベテラン保育士で構成されていると言えます。
私が働いている保育園も中堅保育士は数えるほどしかいないわ。
『業界にとって痛い』と言うことを踏まえて読み進めていくと理解が深まるよ!
7年までに約50%の保育士がやめる
先ほどのグラフの6~8年未満の全体を見てみます。
2年未満と比べると、約20,000にも保育士さんがやめています。
確かに、20,000人近い保育士が辞めているわね。
9年までに50%以上の保育士がやめる
8~10年未満に焦点を当ててみましょう。
2年未満と比べると、50%以上の保育士が辞めていることがわかります。
確かに、半分以上の保育士さんが辞めているわね。
もし仮に20代前半で結婚し子育てをした場合、8~10年経過すると子どもは小学校に上がる年齢になります。
これっておかしくないですか?
理解できない・・・。
私も結婚して子育てに余裕が出たら、もう一度保育士として働きたいわ!
つまり、中堅保育士の数が少なくなっています。
その疑問は、次に紹介する保育士の退職理由で明らかになります。
保育士の離職理由とは?

保育士の離職理由を話す前に、保育士が不足している話。
保育士の有効求人倍率は年々高まっています。
具体例を出すとH26年には、有効求人倍率2.18倍を示しています。
どういうことかというと、保育士1人に対して保育園2件がオファーを出すということです。
要するに、就職活動や転職活動で有利に進めやすくなるよ!

以上を踏まえて、保育士の離職理由を見ていきます。
僕の経験や保育士友だち、先輩保育士の話を聞いていると離職理由は大きく3つに分類されます。
・給料が安い
・仕事量が多い
・人間関係が悪い
それを裏付けるように、保育士の職場改善希望状況がマッチしています。
つまり、僕が紹介している保育士の離職理由は信頼性がかなり高いということが言えます。
保育士は給料が安い
保育業界は、福祉・医療業界全体で見ても、一般職を含めた全職種で見ても給料はトップクラスで悪いです。
保育士と似た仕事で有名な幼稚園教諭と比べても15,000円もの給料差があります。
さらに言うと、幼稚園教諭の方が平均年齢も若いことがわかります。
また元保育士に話を聞いても、賃金については全く納得していませんでした。
元保育士の体験談については、【保育士を退職!】7年働いた元保育士が退職を決意した理由で紹介していますので合わせてお読みください。
保育士は仕事量が多い

悲報3つ目です。
保育士の仕事量は、プライベートを無視してまで迫ってきます。
その量は、ブラック企業も驚くほどのブラックさ。
それを裏付けるように、保育士の職場の改善希望には要望がずらっと並んでいます。
グラフをわかりやすく説明すると、次の通り。
・職員の増員(40.4%)
・事務・雑務の軽減(34.9%)
・未消化(有給等)休暇の改善(31.5%)
・勤務シフトの改善(27.4%)
・責任範囲の縮小(12.1%)
これが現場保育士のリアルな声です。
つまり、ここで紹介している保育士の声はほんの一部であると言えます。
保育士の人間関係が悪い

悲報4つめ。とは言え、人間関係については保育園によると思います。
まぁ大半の保育園ではよくないでしょうね。
僕の学年は200人くらいいたので、50人くらいは保育実習で嫌な経験をしています。
このデータも現場の改善希望状況とだいたいマッチしています。
・職員間のコミュニケーション(20.3%)
保育士を辞めた友だちに聞いても、だいたいこの話をします。
・給料が安い
・仕事量が多い
・人間関係が悪い
つまり、この3つが保育士を退職に追い込む要因になっているのは言うまでもない事実です。
離職した保育士さんの生活は?

保育士としてやっていける気がしません・・・。
ブラックな保育園は多いけど、保育士のことを考えてくれるいい保育園はそれ以上なんだよ。
少し安心しました。
次は、離職した保育士のその後の生活を見ていくことにしましょう。
保育士として転職

転職エージェントに転職相談をしているときや、友だち保育士と話をしていて1番多いのが保育園を変えること。
つまり、保育士として転職することです。
保育園の職場環境や人間関係に悩んでいる保育士のほとんどは、もう一度保育士として活躍したいと考えているようです。
僕が実際に使って、自信を持っておすすめすることができる転職エージェントは、○○という記事で紹介しています。
あなたが求めている理想の保育園はすぐ近くに隠れていますよ。
異業種に転職

『給料面で納得できない』や『もっと自由な時間が欲しい』と感じる保育士は、異業種への転職が多いです。
結婚している人は、パートでのんびりするという人もいます。
僕の保育士友だちは、ゲーセンで働いたり、放課後等デイサービスで活躍していますよ。
異業種でバリバリ活躍したい方は、総合型の転職エージェントがおすすめ。
保育業界だけでなく、あらゆる分野からあなたに合った仕事を紹介してくれます。
登録料や利用料は一切かかりませんし、どの転職エージェントも大手企業なので、安心と実績が違います。
総合型転職エージェントの特徴については、総合型転職エージェントの特徴【転職活動が不利にならない方法】という記事を参考にどうぞ。
転職エージェントに不信感を持っている方は、転職サイトがおすすめ。
自分で求人を探すことができるので、自分好みの求人を見つけることができます。
転職サイトの仕組みについては転職サイトの仕組み【転職サイトが無料で使えるのはなぜ?】が参考になります。
家事・育児に追われる

結婚や出産による退職をした保育士に多いです。
特に出産した保育士は、子どもが大好きなので忙しいけど幸せな顔をしています。
どっち?って思っちゃいます。
とは言え子育てが始まると、時間に制約ができるので保育園で働くのは難しいのが現実です。
夢を追いかける
学生時代に打ち込んでいたことや趣味に力を入れて独立を目指すタイプです。
僕が知っている中では2人います。
社会人になると自己責任になるので、夢を追いかける期限を決めて挑戦するのがいいでしょう。
保育士の離職率から分かる保育業界の闇

分かりやすく説明してくれてありがとう♪
さっ、そろそろ帰ろうかな・・・。
なんだと!!
(なんかデジャブ・・・。)
保育業界の闇についてみていくよ。
これはあくまでも僕の憶測です。
とは言え、かなり的は得ているから頭の片隅に入れておいて。
保育士等確保対策検討会が機能していない

保育業界に潜む闇の1つ目です。
保育士等確保対策検討会は、2015年11月に発足されましたが、1ヶ月程度で活動を休止しています。
それを裏付けるように、厚生労働省のページも2015年12月を境に更新がストップされています。(2020年7月現在)
保育士を確保するために現場の声を聴き、処遇改善を図るはずの検討会でしたがほとんど行われることはありませんでした。
そしてこの会議の結果と言わんばかりに、2016年には待機児童解消に向けて緊急的に対応する施策を掲げ、大規模な規制緩和を行いました。
結果から話すと、『待機児童問題』は解消されつつあります。
世間に衝撃的なインパクトを与えた「保育園落ちた日本しね」(筆者のTwitter )問題をきっかけに国は対応していきます。
2016年には、約45,000人もの待機児童がいましたが、2019年4月には約16,000人前後まで減少しています。
待機児童数については厚生労働省の発表を参考にしています。
待機児童減少の背景には、保育園などの規制緩和による恩恵が大きいです。
・幼保連携型認定こども園
・企業の保育事業参入
・小規模保育園などの充実
このように子どもを取り巻く環境は大きく変化していきました。
そして規制緩和を行った結果、以下のような事件が頻繫に報道されるようになりました。
児童の権利に関する条約には『子どもの最善の利益』を保証することが明記されています。
しかし現状は、『子どもの最善の利益』どころか子どもを利用してお金儲けをしています。
待機児童問題=待機児童をなくすではありません。
『待機児童問題=子どもが安心して過ごせる場所の確保』だと1人の保育士として声を上げたいです。
そもそも論として保育について学んで来なかった人(政治家)が改革をするから現場を混乱させるのです。
特に、コロナの影響によって保育士の不満は限界の域を超えました。
上記の問題は、まさに現代保育士の抱える問題の象徴と言える現象だと考えています。
僕が伝えたいのは、保育士の待遇を改善して保育士として働いていることに誇りが持てるようにしてほしいということです。
保育士は仕事に対して不満を抱えていません。
もっと働きやすい環境を提供してほしいと言っているだけです。
処遇改善手当が直接振り込まれない

保育業界に潜む闇の2つめ。
反対意見というか反論として厚生労働省から、『処遇改善手当』を出して保育士の待遇を改善しているだろ!と反論が来そうなので先に回答しておきます。
確かに処遇改善をしていただいたおかげで、生活が豊かになった保育士はいるはずです。
保育士等の処遇改善の推移では約10%も給料面は改善されています。
研修制度の導入や役職を増やすことで、中堅層の離職を下げることがねらいなのでしょう。
とは言え、現状として中堅層の保育士の離職を食い止めることができていません。
それは、データからもハッキリと証明されています。
保育士登録をしている人は年間で約80人前後。
一方で実際に保育士として働いている人数は、年間で20人以下。
これは保育士として新しく働く人が増えても、保育士として働きたくないと思う中堅保育士が多いからです。
中堅保育士の離職を抑えられない原因は次の通り。
・処遇改善手当が保育園に振り込まれる
・処遇改善手当の支払い記録を報告しなくてもいい
・キャリアアップ研修が祝日に行われる
・新しい役職がついて少し余裕が出る
言わば、中堅保育士になってやっとまともな生活ができるのです。
それなら、保育士以外の仕事をするわ!っていう話。
保育士の処遇改善手当については、保育士は処遇改善手当で給料アップ!?待遇は改善されるのかという記事を参考にどうぞ。
保育士の給料水準は生活保護費とほとんど変わらない

保育業界の闇3つ目です。
保育士の給料は、生活保護費とほとんど変わりません。
自分がいくら生活保護費を貰うことができるのかは、生活保護の自動計算サイトに住んでいる地域を入力すると簡単に計算できます。
僕を例に出して見てみることにしましょう。

一方で、令和元年度の医療・福祉業界の平均的な初任給は以下の表のようになっています。
探すのが面倒だと思うので簡単にまとめます。
・大卒(206,000円)
・短大卒(189,000円)
この情報は、医療業界つまり、看護師の給料も平均の中に組みこまれています。
保育業界だけで見た場合は、もう少し低くなる可能性は高くなります。
さらにここから社会保険料や年金などが引かれると、手残りは157,000円程度。
生活保護の人と比べても30,000円程度しか余裕がありません。
つまり、30,000円を稼ぐために保育士をしているのと同じ意味です。
また保育士という仕事は30,000円を稼ぐために、
・自分の時間を削る
・子どもの命を預かる
・子どもの成長の基盤づくり
・子育て支援のサポートをする
上記のような責任重大な仕事をしていると置き換えることもできます。
保育士の改善希望は国には届かない

保育業界の闇4つめ。
保育士の職場改善希望は、ひとつとして叶わないということです。
復習として上位5つをおさらいしてみよう。
このグラフ上位5つを表にまとめるとこんな感じ。
ブラック企業は真似したくなるかもしれませんね。笑
給料や賞与などの改善 | 処遇改善を出すが一般企業の新卒並み(園に処遇改善を取られることもある) |
職員数の増員 | 利益を追求して見込めない。 毎年増えているのは20人以下。 |
事務、雑務の軽減 | 増える一方。 新人保育士の育成を繰り返す。 |
未消化(有休等)休暇の改善 | 期限切れという形で消化。 |
勤務シフトの改善 | 7時~19時という変動労働を強いられる。 もちろん、残った仕事はサービス残業。 |
待機児童問題の解決に向けた政策は、保育士の仕事をさらに過酷なものにしています。
そして、改善案を国(政治家)に伝えたところで変わらないと思っている保育士も少なくありません。
実際に保育士を目指して挫折する人は増えています。
そして少子化の影響を受けて、保育士になる人も減っています。
また保育園で働く若手・中堅層の保育士はドンドンやめていきます。
近い将来、保育業界がどうなるのか楽しみですね。
保育士の離職率まとめ

今回は、保育士の離職率とその原因、離職率からわかる保育業界の闇について解説してきました。
まとめると下記の通り。
・保育士の離職率は、約10%
・7年目までに約50%が辞める
・保育士の離職原因は、給料・仕事量・人間関係
・保育士の声は、国には届かない
むしろ子どものことを考え、保育士に心地よく働いてもらおうと努力している保育園の方がたくさんあります。
保育士の給料は、国のさじ加減で決まってしまいますからね。
保育士の給料は、国や市か支払われている支援金で賄われているんだよ。
詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にどうぞ。
保育士の給料の仕組み記事のリンク
今日はこれまで。
保育士の離職率についてのお話でした。